【卒業袴】似ているようで違う!袴と着物の違いとは?
最終更新日:2022年2月12日 11:38
卒業式に向けて卒業袴の準備を進めている方も多いのではないでしょうか?
日本の伝統的な衣装である「袴姿」で卒業式に参加すれば、華やかな存在になること間違いありません。
ところで、そもそも袴と着物の違いは何か知っていますか?
同じ意味のように感じてしまいますが、似ているようではっきりとした違いがあるのです。
今回はそんな袴と着物の違いについてご紹介していきましょう。
このコラムの目次
「着物」は和装の全般を意味しています。
昔の日本では、着物と言えば衣服の全般を意味する言葉として使用されていました。
しかし明治時代に入り、西洋の文化が入ってくると洋服が広く浸透されることになります。
その結果、洋服と区別するために「着物」は和装を表す言葉として使われるようになったという歴史があるのです。
そのため、着物と袴は違いを比較できる対象ではないのです。
袴は着物として指すことは可能ですが、着物として袴のみを特定することはできないのです。
「着物」は和装全般を指しており、和装の種類の1つに「袴」があるというイメージをもつと分かりやすいかもしれません。
どうしても混同してしまうという人は、「全体を表す言葉か、全体の中の1つを表す言葉なのかという違いがある」と覚えておくと良いでしょう。
着物は和装の「着る物」全般を表す言葉であるため、その種類は袴以外にもさまざまなものがあります。
代表的なものとしては「振袖」「訪問着」「留め袖」「浴衣」などが挙げられるでしょう。
しかし「袴と着物」や「浴衣と着物」という風に、使い分けて認識されている場合もあります。
「袴」とは着物全体を表している言葉ではなく、「着用している着物の上から下半身に履くもの」を意味しています。
洋服に言い換えるならば「ズボン」にあたるでしょう。
袴を着用中の状態は「袴姿」と呼ばれています。
袴は遥か昔、古墳時代から着用されていたと言われています。
当初は男性用礼服や、官職をもち宮廷に仕えている身分の高い女性が着用するものとされていました。
明治時代には女性教育の考えが広まり、着座して授業を受ける際に従来の着物ではシワが付きやすいということから、女学生間では現在の袴が普及されていったのです。
明治時代に女学生の制服として、袴が採用されたことが、卒業式で袴を着用するきっかけとなりました。
袴は従来の着物と比較すると動きやすさという点で優れています。
また着用することで「上品な美しさと礼儀正しい印象」を与えることから、制服として袴が採用されました。
また、明治時代に女学校へ通うことのできる女性は裕福である場合が多く、制服である「袴」は誰でも着用できるものではありませんでした。
そのため、貴重な「袴」を着用することは女性の憧れでもあったのです。
このような歴史を辿り、現代では卒業式での衣装「卒業袴」として着用されるようになったのです。
ちなみに現代の女学生が卒業式で着用する袴としては、「行灯袴(あんどんばかま)」か「襠有袴(まちありばかま)」が一般的とされています。
今回は袴と着物の違いについてご紹介していきました。
袴と着物は比較する対象のものではなく、まったく別のものであることが分かりました。
和装全体を表す言葉として「着物」があり、その着物の種類の1つとして「袴」があるのです。
このことを覚えておけば、今後袴と着物の違いに混乱することもありません。
明治時代の女性なら誰もが憧れた「卒業袴」。
そんな卒業袴を着用すれば気持ちが凛となり、胸を張って卒業式を迎えることができるのではないでしょうか。