産着や祝い着の刺繍は何?お宮参りの「背守り・紐飾り」の意味や由来
最終更新日:2022年2月12日 13:44
江戸時代から日本には、赤ちゃんがお宮参りの際に着用する産着や祝い着に「背守り・紐飾り」という飾り縫いを施す風習があります。
今回は、産着や祝い着の刺繍「背守り・紐飾り」の意味や由来についてご紹介します。
このコラムの目次
背守りとは、産着や祝い着の背中部分に施す刺繍のことをいいます。
お宮参りのお着物は一つ身の着物で背縫いがないため、背中を守る「目」の代わりとして背守りを付けます。古くから「背縫いのない着物には魔がさす」という迷信から、背中を悪いものから守る魔よけの意味を持つとされていました。近年では子供の健やかな成長を願う意味もあります。
ななめに縫ったものは「糸じるし」、絵や模様をもした刺繍は「背紋飾り」と呼びます。
背紋飾りには、縁起が良いとされる吉祥文様(きっしょうもんよう)の亀やコウモリのデザインが用いられます。
また、襟元に布や紐を縫い付けたものには災害時に神様が布・紐を引き上げて助けてくれるという言い伝えも。
お宮参りの祝い着(打ち掛け)には、表側に布の紐が付いています。この紐を飾り縫いした縫い目部分を紐飾りといいます。
紐飾りには諸説ありますが「迷子のお守り」という風習からといわれています。紐飾りの縫い糸をあえて少し残す(切り離す)ことで、子供が迷子になり悪いものに糸を引っ張られそうになっても糸が着物から抜けるため助かる、というおまじないの意味が込められています。
紐飾りは、熨斗(のし)や扇子といったさまざまな絵柄・模様を紅白の糸で刺繍します。付け紐を縫い付けるときは、男の子は下向きに縫い、女の子は上向きに縫い付けます。
家紋の刺繍とは異なり、背守りや紐飾りのみの刺繍を取り扱っているところは少ないようです。一般的に紐飾りは最初から縫われていることが多いですが、産着を新しく仕立てる場合は、念のため呉服屋さんなどに相談しておきましょう。
またご自身で縫いたいという方は、地域イベントとして背守り・紐飾りの刺繍ワークショップを開催しているところもあるため、地域情報をチェックしてみるのも良いかもしれません。
最近では、子供のTシャツの背中に縫い目を入れたり、刺繍したりすることがトレンドになっているなど、背守りの大切さが見直されているようです。
かつて、背中から忍び寄る悪いものから子供を守る「魔よけ」や「おまじない」として縫われた背守り・紐飾りですが、現代でも子供の健康や成長を願うものとされています。
最近では、背守りや紐飾りが子育てママの間で静かなブームにもなりつつあります。時代が変わっても、子供の健やかな成長を願う親の気持ちは変わらないのでしょう。